【DAIREI レポート vol.2】
2025.06
若手技術者の「気づき」を育む建物へ
岐阜高専の学生たちが見学に訪れた理由とは?
2025年6月、大冷工業の岐阜支店に『岐阜工業高等専門学校(以下、岐阜高専)』の学生たちが見学に訪れました。
建築系学科に所属する26名が、授業の一環として新設された支店建物を視察。空調や給排水といった“設備”の
視点から建物を見るこの取り組みには、どんな学びがあり、どんな想いが込められていたのでしょうか。
今回の企画を現場で担当した岐阜支店の水田さんにお話を伺いました。
空調・設備の視点から、建築を学ぶ
ーー今回の見学は、どういった経緯で実現したのでしょうか?
水田) 昨年に一度、この建物がまだ工事中の状態で、鉄骨だけが立っている時期に岐阜高専の生徒が見学に来られました。 1年が経ち、今年の学生たちには完成した姿を見てもらうことができました。 こうした機会は学生にとっても貴重な学びの機会になったのではないかと思います。ーー学生たちは授業の一環として来られたんですよね。
水田) 建築学科の学生たちですが、私たちの専門である“設備”の視点も建築には不可欠です。 今回は空調や給排水、配管など普段は見えない部分に光を当てて案内しました。とくに注目を集めたのが、「ZEB(ゼブ)」の取得です。※ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、建物が年間で消費する一次エネルギーを実質ゼロにすることを目指す建築の考え方
水田) ZEBは建築だけでも、設備だけでも達成できないもので、両者の連携があってこそ、 初めて実現します。今回の見学では、ZEB実現のために採用した設備や建築面の工夫についても詳しく紹介しました。
隠さず“見せる”設計|リアルな配管やダクトに学生たちも注目
ーー見学した学生たちの反応はいかがでしたか?
水田)とても真剣に聞いてくれて、質問も多くいただきました。あえて天井を貼らずに、設備を見せる空間作りを意識しましたが、配管やダクトの構造をじっくり見上げている様子が印象的でした。 建物の設計段階で、どうやって建築と設備がすり合わせをしていくのか、という点にも関心を持ってくれていたようです。
ーー学生にとっては、図面だけでは得られない“現場のリアル”が感じられたのではないでしょうか
水田)そう思います。将来、デザインや設計を目指すとしても、設備の視点は欠かせません。「設計段階で設備のレイアウトをどう組み込むか」 「メンテナンス性をどう考慮するか」といった、実務ならではの視点は、今回しっかり伝えられたかなと思っています。
「伝える力」も、建物の価値の一部
ーー学生に伝えることで、水田さん自身にとっても学びがありましたか?
水田)はい、ありましたね。普段は建物を設計・施工して「完成したら引き渡して終わり」 という感覚だったんです。でも今回、建物の特徴やコンセプトを“説明する側”に立ったことで、「この建物にはこういう意図があるんだ」と改めて整理することができました。
ーー自社の建物を、未来の技術者に伝えるというのは、特別な経験ですね。
水田)本当にそうです。この建物は、単に我々が内勤で使うためだけでなく、外部の人にも見てもらうことを想定して設計しました。だからこそ「伝えること」
も建物の一部なんだと感じましたね。今後、また学生や見学者が来てくれた時にも、しっかり“伝えられる準備”をしておきたいと思います。
次世代を担う若者たちに、リアルな建築と設備の交差点を見せた一日。 それは、学生たちにとっての学びであると同時に、迎える側にとっても、自社の価値を見つめ直す機会になっていました。岐阜の地に建つこの建物が、 これからも多くの若者たちに“学びと気づき”を与え、未来の技術者を育む場として機能し続けることを願っています。